夜の夜行でバンコクに出た。三列席でほぼ水平になるぐらいまで背が倒れる最高級のVIPバスだった。冷房もぎんぎんに効いている。若い女性の車掌が、コーヒーやら菓子類を運んできてくれる。これまで乗ったアジアのバスのなかでも最高のバスだった。これでバンコクまで千円もしない。やはりタイという国は旅人にはありかたい国だった。一定の金を払い、そこから受けられるサービスが、アジアのなかでは頭ひとつ抜けている。費用対効果という尺度をあてはめれば、日本をはるかに凌ぐだろう。
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バスは谷に沿ってつくられたくねくね道を登ってダークに着く。ここからバンコクまでは幹線である。百キロを超えるスピードで南下していく。ここまでアジアハイウェーを乗り継いできたが、タイのすごさは、その道の通行に高速料金がかからないということだった。バンコク市内には有料道路はあるが、地方を縦横に結ぶハイウェーは通行料がかからないのだ。その経済効果はかなりのものだろう。韓国や中国のアジアハイウェーは有料道路だった。しかし料金所に掲げられた高速料金を見て考え込むことが多かった。韓国で釜山から仁川まで乗ったバスが支払った高速代は二千円にも達しなかった。中国で丹東から瀋陽まで乗ったバスが料金所で払ったのは四千円ほどだった。日本は東京から大阪までのバスの高速料金が一万七千五百円である。はたしてアジア各国と日本の物価格差は、高速料金の違いほどの差があるだろうか……と。