2003年8月、北アメリカ大停電と呼ばれる夏の夜を体験した。アメリカの北東から中西部、さらにはカナダのオンタリオ州一帯に影響が出た大規模な停電だった。エアコンが使えず、寝苦しい夜だったことを記憶している。ろうそくを灯し、部屋にこもるよりは涼しいだろうと外に出てみたところ、それまで挨拶さえしたことのなかったアパートの他の住人だちともこれを機会にお互いに自己紹介をし、ラジオを聞きながらひとときを過ごすことができた。近所の公園では石焼釜のピザやバーベキューのグリルを持ち込んでアウトドアを楽しんだりギターの弾き語りを披露する輩もいた。私の住んでいる地域では、電気は翌日午後に復旧し、近所から雄叫びが聞こえると同時に窓についているエアコンの羽根が回り出しだのが見えた。それまで、毎日当たり前のように享受していた「スイッチを押せば電気がつく」という状況がどれほど心地良く、ありかたいものかを身をもって知るいい機会になった。キャパシティを超えてしまうと、画面にクジラの絵が現れて、サービスダウンしてしまうツイッターのようなサイトでは珍しくもないが、2010年7月29日の午後、数時間にわたってアマゾンにアクセスできない状態が続いた。サイト立ち上げの初期から毎日のようにベストセラーリストをチェックしたり、版元を調べたり、欲しいものリストに商品を放り込んでいるヘビーユーザーの私でさえ、アマゾンが落ちているのは記憶にないほど珍しいことだ。