手相・観相に造詣が深かった剣豪小説作家の故・五味康祐氏は、ヒッピーのような長髪をトレードマークにしていたが、これは、自分の占いの力を強めるためだった。彼は、髪の毛は人間にとって、宇宙の気を受けるアンテナのようなもので、これを伸ばしていれば伸ばしているほど霊感が強まると信じていたようである。著書『五味人相教室』(光文社)には、『男性が髪を長くしていると、この女性的柔弱さをおびてくる。画家や小説家が髪を長くしているのは、こうして女性的感情の移入をはかるためで、ダテに長くしているのではないのです』と書いてある。女性崇拝者であった五味氏にふさわしい論理だ。もちろん、髪の毛ばかりではない、ヒゲもちゃんとその役目を果たしているという持論であって(前記の著作にはヒゲの濃さは精力に関係ありと書いてある)、してみると、なんだか薄汚く思えた五味氏のあのスタイルは、ちゃんと本人にとっては理にかなっていたものだったらしい。
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