紙の本に対する思い入れがない!?

2010-12-13

出版社としては、これからもコヴィーが活躍し、無料でデジタルカタログ版をばらまいたとしても、『7つの習慣』が売れ続けると考えている。デジタルカタログの高印税で儲けられるのは、コヴィーのように既に本以外の領域で自分の「プラットフォーム」を持っている人間だ。有名なビジネスリーダーであったり、TVパーソナリティーであったりと、「セレブ」であることが必要だ。そして、その知名度で本を売るのだから、出版社の後押しが必要ないというわけだ。著者というより、セレブがその知名度をさらに上げる手段の一環として本も出している、という感覚だろう。誰もができる自費出版とは対極的な存在だ。パウローコエーリョも世界を股にかけるベストセラー作家だ。『アルケミストー夢を旅した少年』は、本国ブラジル国内で20万冊、世界で6000万冊出ている。彼の場合、著者でありながら、口コミならぬ読者から読者へ電子版を広める「ファイルーシェアリング」に反対する姿勢をあまり見せていないところが面白い。海賊版を奨励しているわけではないが、クリスーアンダーソンの「フリー」論に通じる考えを持っている。もともと、『アルケミスト』も最初のブラジルの版元が1000部も刷らずにさっさと絶版にしてしまった経験があるので、その頃から紙の本に対する思い入れがないのかもしれない。