新しい社会のために、わたしは仕事をしてきた。それまでひとは、何もすることがなくて暇のある女たちや、侍女に靴下をはかせてもらうような女たちのために服を作っていたわ。だけどわたしの客になった女たちは活動的な人たちだった。活動的な女には、着心地のいい楽な服が必要なのよ。袖をまくりあげられるようでなきや駄目。(同)袖をまくりあげられるようでなきゃ駄目、歯切れのいいシャネルの言葉からは、「自分自身が着る」服をつくるという内発性がいきいきと伝わってくる。シャネルはまさに「自分が着たい服」をつくりだした女なのだ。男のまなざしに媚びることより、《着心地》の方が大事。家の外に出て働く活動的な女にしかできない発想にたったファッションが、シャネルとともにようやく歴史に登場したのである。