スーツやドレスなども一通り縫える

2010-12-20

新婚三ヵ月目の、ほんの軽い気持ちだったのである。平面裁断だったから平たい原型を作り、それから何センチの調整をどうするとか、ボタンホールやポケットの部分的な作り方など、ドレスメーキングの基本ノウハウを勉強して、やがてミシンをかけてスーツやドレスなども一通り縫えるようになった。こうしたところはいわば花嫁学校みたいで若いお嬢さんたちが多く、私のように結婚してから始めた人はほとんどいなかったが、勉強するほどに、面白くなり、おなかが大きくなってからも通い続けた。二年間で卒業した後、昭和二六年のこと。ドレメでともに学んだ友人たちと新宿に小さな洋裁店を持った。ものづくりが好きだったものだから、その気になってしまったのだが、これが繁盛した。そのうち、仲間が結婚したりして、どうしようかと思っていたら、亭末が「しっかりやってみたら」とすすめてくれた。そして新宿の地主さんで、武蔵野館の前に不動産を持っていらした方から、そこの二階を借りて「ひよしや」を開店したのである。一階は靴屋さんだった。今からみれば木造のバラックで、階段も狭い。しかし、やる気充分だから、とにかく何もかも楽しく、ここをどんなふうに演出するのが一番いいのかを、あれこれ考えた。