弱い長期薬物治療、とくに低用量ピルは、確定診断でも臨床診断でも長期に使える薬です。とくに臨床診断の場合は、最初に処方する薬は低用量ピルであるべきです。また、確定診断で再発した場合、今後はダナソールやらRHアゴニストの通常治療は一生に二上二回にとどめて、後はそれらの低用量治療や低用量ピルを使うようにしましょう。低用量ピルが使える二I世紀の日本の女性たちは、強い薬の副作用による心身の損傷を味わう年月とムダな医療費をかなり減らせるでしょう。ただし、低用量ピルで「治る」わけではありません。やっと、八〇年ごろの欧米の子宮内膜症の女性たちの薬物治療状況に追いついただけです。ピルは、エストロゲンとプロゲステロン(厳密にはプロゲストーゲン)の両方が入った合成ホルモン剤なので、二つの女性ホルモンが体内に十分あると脳が錯覚し、自分のホルモン分泌を休むのです。それで、排卵が止まり、月経が止まります。ピルの合成女性ホルモンは、ふつうの月経周期のようなダイナミックな分泌変動はなく、プロゲステロン優位の状態で、単調に一定量で身体の中にあります。そのため、子宮内膜を脱落膜化し(妊娠中や月経直前の子宮内膜の状態)、病巣を弱める効果があると言われています。偽妊娠治療とよばれることもあります。ただし、一般的な避妊法としては、三週間使って一週間休むという周期的使用をするので、休薬期間に、ピルの女性ホルモンによってつくられた薄い子宮内膜がはがれ落ちる、消退出血という偽物のミ二月経があります。子宮内膜症で治療として使う場合、消退出血すら痛いという人は、一パック三週間分を休まず続けて、三〜六パック連続使用する方法でもかまいません。一パックに二八錠入っているタイプは、最後の七錠は偽薬ですから、連続使用する場合は、ほんとうの薬である21錠の部分だけを続けるのです。巻末資料に低用量ピルの添付文書があります。禁忌に子宮筋腫が入っているのは、匪界で日本だけです(その意味を考えてほしい)。低用量ピルは、高血圧の人とタバコをすう人は使ってはいけない薬です。低用量ピルを使ってきた世界の医療者たちの数多くの研究調査によると、卯巣がんと子宮体がんの発生率が減り、良性卵巣腫瘍も減り(卵巣チョコレート嚢胞が入る)、貧血や月経困難症が改善されるとわかっています。副作用としては、ダナソールで書いた血栓症と虚血性心疾患(心筋梗塞など)が注目されます。しかし、それを改良してきた歴史が、高用量ピル・中用量ピル・低用量ピルなのです。また、むかつきや頭痛は一圭一ヵ月で消えていきます。ピルは、心疾患が増えてくる四〇代は使わないほうがいいと言われますが、WHOでは、喫煙せず、高血圧のない女性なら、注意しながら使っていいと言っています。年単位で見れば、低用量ピルと、aRHアゴニストやダナソールは、どちらも排卵を止めて月経を止めるホルモン剤で、病気の時間を止める治療として同等です。違うのは、副作用、使用期間の制限、費用で、どれをとっても低用量ピルが有利です。世界の子宮内膜症の女性たちは、保存手術と低用量ピルを使いこなしながら、ときには011RHアゴニストやダナソールを使うという人生を、すでに八〇年代から送っているのです。低用量ピルは吐界で三〇年近くにわたり、何億人という女性たちが使ってきた避妊薬です。
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