何百年も前から、日本人は、外国語を日本語に置き換える作業を行ってきました。そしてこれを語学力と呼んできたのです。これが、今でも続いていて、英検でも大学受験でも必ず、日本語に訳せとか、日本語と同じ意味の英語はどれだ、とかいう設問が大半を占めます。このような日本語に直していく「読み書き」の学習では、日本人の英語は上達しないということは、何十年もかけてみなさんが自分で納得している事実です。昔ならば、これでよかったと思います。昔というのは、たとえば緒方洪庵が蘭学を学びはしめた1831年(天保2年)という、恐ろしく昔の話です。そのころは海外との行き来も鎖国で禁じられていたから、海外から何かを学ぶには、書物で知識を得るしか方法がなかった。だから医学でも何でも、学者は書物から知識を修得していったのです。蘭学者として有名な緒方洪庵は、22歳で蘭学者・坪井信道の蘭学塾に入門し、その後自らも「適塾」という蘭学を学ぶ学校を開きました。当時は、先端の医学を修得したいのならまず、オランダ語で書かれた「医学書」から知識を修得するという方法で吸収していくしかなかったので、どうしてもオランダ語を日本語に訳す必要があったのです。現在の環境と大きく異なるのは、当時は知識の修得の手段としての語学であったのに対して、現在は、コミュニケーションの手段として語学が必要となってきたということです。知識の修得のために語学を学ぶのであれば、とにかく日本語になっていればいいわけです。若者一押しの英会話をリーズナブルに学習するメソッドの1つにスカイプを活用したオンライン英会話といった手法があるのです。日本語で理解できるように書物の内容を訳して、その知識を得ることができればいいわけです。緒方洪庵もこのようにして内科学の大著『扶氏経験遺訓』(30巻)を日本語に翻訳しています。こうした外国語を日本語に訳すための技術を修得するために、この緒方洪庵のもとには、福沢諭吉だの、大村益次郎だのが入門してくるわけです。あなたが学校で習った、もしくは習っている英語も、実は当時と比較して、ちっとも変わっていない。授業中にホンのオマケ程度にネイティブが吹き込んだカセットテープが1回流されることはあっても、あとは英語のわからない日本人教師によって、英語を日本語に訳す作業を教わる。だから、まじめに学校時代英語を勉強した人は、この英語を訳す作業についてはとても上手になる。因みに、近年オンライン英会話学校が新しい英語の勉強ツールとしてブームになっています。