第2番目のポイント。アメリカで豊胸手術に使われたシリコンバッグの安全性をめぐって裁判が起こった、というニュースを耳にした人も多いのではないだろうか。1992年、「豊胸手術で膠原病になった」という女性が、シリコンバッグを製造していたダウ・コーニング社を相手に提訴、全米を巻き込んだ大規模な裁判に発展した。裁判は患者側が勝訴し、ダウ・コーニング社は膨大な負債を抱え、倒産した。しかしあとから、この女性が「豊胸手術を受ける前から膠原病だったことが明らかになるが、すべては後のまつりだった。この事件のあおりで、一時期シリコンバッグの使用は禁止され、日本でもその製造と輸入が禁じられた」(『美容外科の真実』塩谷信幸著)。その後、シリコンバッグは改良され、欧米では再び使われるようになっているという。一方、日本では医師が外国から並行輸入している。現在、豊胸手術では、改良されたシリコンバッグあるいは袋の中に生理食塩水を入れたバッグが使用されている。シリコンそのものは注射の針のコーティングや食品、人の体内にも微量に存在する物質だ。生体反応もなく、安全とされている。しかしシリコンバッグを胸に入れると、「カプセル拘縮」といって人工乳房の周りの膜が収縮し、その膜が厚い場合はバッグが固まったり球体に膨れるトラブルがまれに発生する。感染を生じたり、人工乳房の破損やもれを生じることも皆無ではない。生理食塩水のバッグについても、破れるリスクなどからあまり勧められない、という医師もいる。「豊胸手術は絶対に安全」とは言い切れないのだ。「異物を入れると、人間の生体反応で、どうしても周囲に膜ができる。バッグが破れた際には、皮膚の組織に異物がしみ込んでいくことを、この膜が防御してくれるわけです。もし手術後に、内容物が心配になった場合は再度切開して取り出し、新しいものに入れ替える。それくらいのこともありうると覚悟しないと、豊胸手術はできないと私は考えています」(昭和大学・保阪善昭)
[参考情報]
http://www.aael.net/sp02.html